東京生化学研究会(TBRF)は、東京大学初代薬学部長・故石館守三教授と基礎及び臨床の医学・薬学研究者の発意に基づき、中外製薬株式会社創業者・故上野十藏社長がその設立趣旨に共鳴して創設され、昭和35年(1960年)12月に文部大臣により財団法人として設立が正式に認可されました(設立時の役員は下表)。
昭和60年(1985年)には石館守三理事長の後を継いで、中外製薬株式会社・故上野公夫社長(当時)が2代目理事長となり、平成18年(2006年)からは、中外製薬株式会社・永山治社長(現名誉会長)が3代目理事長に就任して、今日に至っています。
設立年月日 | 1960年 12月 1日(主務官庁:文部省) |
---|---|
設立時の役員 |
理事長 石館 守三 (東京大学薬学部教授・薬品分析学) 理 事 阿部 勝馬 (慶應義塾大学医学部教授・薬理学) 理 事 島薗 順雄 (東京大学医学部教授・生化学) 理 事 田坂 定孝 (東京大学医学部教授・内科学) 理 事 吉田 常雄 (大阪大学医学部教授・内科学) 監 事 太田 敬三 (東京医科歯科大学医学部教授・小児科学) 監 事 飯村 義美 (弁護士) |
TBRFは、当初研究所の運営が中心で、10~20名の所員がステロイド、糖類、ポリアミン、化学発癌剤、癌免疫等に関する先端的研究を展開しており、研究所員の中から国公私立大学の教授・国公私立研究機関の所長・部長等を多数輩出致しました。約27年間の研究所運営によって、優れた研究者の養成という財団の当初の目的をほぼ達成し、その後TBRFが財団として新時代に対応していくために昭和62年(1987年)研究所における研究活動を休止し、大学・学術研究機関等で主に基礎研究に従事する研究者に対する支援を目的とした研究助成事業に重点を移すことになりました。
当財団では、昭和60年(1985年)から「薬物治療並びに新医薬品の創製に関する基礎及び応用的研究」を支援するために、各種事業を展開しております。具体的には現在も行っている①公募研究テーマによる研究助成金・研究奨励金事業、②海外で開催される医学・薬学関連国際会議等に招待講演等で出張する研究者に対する海外派遣補助金、③国内で開催される国際会議等に来日する外国在住研究者を対象とした海外招聘補助金、④標記の目的で研究を志す大学院生等に対する奨学給付金の援助などです。事業の中でも特に中外製薬株式会社創業70周年記念事業の一環として開始されたアジア地域から博士号取得済の若手研究者を招聘し、わが国の大学などの研究機関において日本側受け入れ研究者と共に研究に従事するアジア地域招聘国際共同研究助成金は注目すべき事業と考えています。これはわが国とアジア諸国における医学・薬学の発展に資することを目的にしたもので、他にあまり類を見ない画期的事業であり、今日まで継続的に行われています。日本を中心としたアジア地域の研究振興に寄与しており、多くの研究者から好評を博しているところです。
その後、平成20年(2008年)12月に公益法人制度改革関連3法が施行され、これに伴いTBRFも平成22年(2010年)9月に公益財団法人へ移行しました。
中外製薬株式会社ではTBRFの公益活動に対する支援と共に、社会貢献の一環として一般社団法人中外Oncology学術振興会議(CHAAO)の活動も支援してきました。CHAAOはわが国のがん研究並びにがん医療の発展、そしてがん医療の受益者であるがん患者さんへの貢献を目指して平成21年(2009年)10月に設立されましたが、特に国際がんフォーラム(IAAO)は最も力を入れている中核的な事業の一つです。IAAOは、“日本のがん研究・治療をリードする日本人研究者・臨床医にがん領域の世界トップオピニオンリーダーとの情報交流・討議の場を提供することを通じて、世界的ネットワークを構築する事”を目的として行われています。
TBRFとCHAAO は共に中外製薬株式会社を出捐企業とする非営利団体ですが、平成30年(2018年)7月には効率性と透明性を高める観点からTBRFとCHAAOの合併が提案され、平成31年(2019年)4月に新たな「公益財団法人 東京生化学研究会」として発足いたしました。翌年令和2年(2020年)に東京生化学研究会は創設60周年を迎え、記念式典等を計画いたしましたが、コロナ禍のため開催は残念ながら中止となりました。しかしながら、60周年を機に両組織における事業見直しが行われ、令和4年(2022年)4月よりTBRFとCHAAOの両事業を完全に統合するとともに時代に即した新たな事業も展開していくことになり、財団名称も「公益財団法人中外創薬科学財団(C-FINDs)」と改称致しました。新たな第一歩を踏み出して今日に至っています。
- 12月
- 財団法人 東京生化学研究会 設立
- 3月
- 財団法人 東京生化学研究会・研究所(豊島区高田)、閉鎖
- 6月
- 財団事務局を中央区京橋へ移転
- 2月
- 試験研究法人から特定公益増進法人への切り替えの認可(文部省)
- 10月
- アジア地域研究者招聘による国際共同研究助成事業の開始
- 9月
- 公益財団法人への移行認可(内閣府)・登記完了
- 12月
- 財団設立50周年記念事業(記念式典・記念誌の刊行)
- 4月
- 一般社団法人 中外Oncology学術振興会議(2009年10月設立)と合併、
新たな「東京生化学研究会」としてスタート - 12月
- 財団事務局を中央区日本橋本町へ移転
- 4月
- TBRFとCHAAOの両事業を完全統合し、
財団名称も公益財団法人中外創薬科学財団に改称
以上、本財団の沿革略史を紹介させて頂きました(経緯を図示)。