令和6年度_2024_助成研究報告集
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Viltolarsen など),製剤化プラットフォームが構築済みで安全性が(ASO 配列特異的な effect を除き)担保されているという利点もあるが,今回準備した Vivo-Morpholino はマウスへの副作用が強く,評価が困難であったため,これ以上の開発を中止した.uPIC:良好な血中滞留性,腫瘍移行性が観察され,優れた抗腫瘍効果が見られたが,CDDP との併用において想定するような効果が見られず(CDDP 抵抗性であるはずの TP53-IRAV 陽性 CDX モデルに対して CDDP が抗腫瘍効果を示したことに起因する),その意味で抗腫瘍効果の判定が困難であった.LNP:CDDP 抵抗性の TP53-IRAV 陽性 CDX モデルにおいて,想定されるような良好な併用効果が観察され,また体重減少についても CDDP の影響と考えられたことから,TP53-ASO の毒性はかなり限定的であることが考えられた.上記の検討により、TP53-ASO の非臨床 POC の取得に成功した。おわりに本研究では,例えゲノム異常によるまず標的とする TP53-IRAV を持つ PDX モデルを同定するため,約 330 のがん横断的 J-PDX library の RNA-seq データを解析し,その中から今回標的にする TP53-IRAV を有する肺がん PDX モデルを 1 例同定した.本報告書を記載している 2025 年 1 月現在,同PDX モデルを免疫不全マウスに移植し,また前臨床試験用の TP53-ASO-LNP の準備も進んでおり,順調に進捗すれば 2025 年以内に前臨床試験における薬効評価が完了する予定である.謝 辞今回,本研究に対する公益財団法人 中外創薬科学財団によるご支援を頂くことによって,上記のように,当初の計画よりも一層充実した研究を推進することができました.ご関係の皆様に深謝いたします.引用文献…1. Shiraishi Y, Okada A, Omori I, Chiba K, Iida N, Yamauchi H, Kosaki K, Yoshimi A: Systematic identification of intron retention associated variants from massive publicly available transcriptome sequencing data. Nat Commun.;13(1):5357. doi: 10.1038/s41467-022-32887-9, 2022. ― 79 ―

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