令和6年度_2024_助成研究報告集
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田の薬物動態解析のためにVivo morpholinoをマウスに投与した際に,10 mg/kg あるいは20 mg/kgの投与で一部のマウスが即死し,著しい炎症反応や強力な血栓形成傾向を示すことが判明したことから,全身投与(静注)用のTP53-ASO Morpholino体の開発は中止とした.図6.Vivomorpholino(左)およびMorpholinoの血中薬物動態(濱田先生による).そこで次に,研究開発協力者の西山(東京科学大学),浅井(静岡県立大学)が保有するDDS技術を用いてTP53-ASOを内包し,静注可能な製剤とした上で,その薬効を同じくCDXモデルにて評価した.まず,西山・喜納らのuPIC搭載TP53-ASOについては,2種類の塩基修飾を施して評価を行ったところ,血中滞留性はTP53-ASO-uPIC2の方がTP53-ASO-uPIC1よりも血中滞留性が良好で,現在同uPIC技術を用いて臨床試験を実施中の核酸医薬とも同等の良好な血中滞留性が得られた(図7左).一方,腫瘍組織への浸透率についてはTP53-ASO-uPIC1が良好であったことから(図7右),in vivoの薬効試験ではTP53-ASO-uPIC1を用いることとした.図7.TP53-ASO-uPIC1/2静注後の血中滞留性(左)および腫瘍内への浸透率(右)(西山先生,喜納先生らによる).CDXモデルにおけるTP53-ASO-uPIC1とCDDPの併用治療の結果,TP53-ASO-uPIC1とCDDP併用群で良好な増殖抑制効果が観察されたが,一方で,本来CDDPに抵抗性のTP53-IRAV細胞がControl ASO -uPIC + CDDPによる治療に一定の感受性を示したことから(図8),実験施設間での差異・あるいはuPIC自体の非特異的作用が考えられた.― 77 ―

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