実験方法ま ず,TP53-IRAV の 中 で も 頻 度 の 高 い 数 種 類 の IRAV に 特 に 注 目 し た.IRAVNet で 検 出 し たIRAV が実際に IR を誘導することを確認するために,TP53 遺伝子に異常のない肺癌細胞株 A549 にCRISPR Cas9 システムを用いて TP53-IRAV をノックインしたところ(図 1A),実際に想定する IRが誘導されることを RT-PCR(図 1B),RNA-seq(図 1C)で確認するとともに,p53 蛋白質発現が低下すること(図 1D),p53 標的遺伝子発現・パスウェイが有意に変動すること(図 1E),また p53機能喪失に関連する細胞生物学的形質として DNA 損傷を生じる抗癌剤への耐性化(図 1F)を確認した.さらに,TP53-IRAV 近傍のあるエレメントに注目し,標的配列に対して ASO を 15 種類設計した結果,2 種類の ASO による IR の修正に成功した(図 2).図1.肺がん細胞株 A549 における TP53-IRAV による IR の確認と p53 発現低下・p53 関連形質の変動の確認(A: Sanger シークエンス,B: RT-PCR,C: Sashimi plot,D: Western blot,E:GESA 解析,F:Daunorubicin への感受性試験)図2.TP53-IRAV に誘導される IR の ASO による修正効果(invitro)一方で,がんに対する核酸医薬開発は未だに国内外での承認例がなく,in vitro で活性が確認されていても,in vivo において安定性やがん細胞への送達が不十分であることなどから十分な治― 74 ―
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