令和6年度_2024_助成研究報告集
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図3.核小体検出細胞と異常検出系の樹立図4.化合物スクリーニング結果それらを組みあわせた方法を開発している.現時点で,ポジティブコントロールの検出に成功した(図3 右).(3) 既知ライブラリーでのハイスループットスクリーニング京都大学ドラッグディスカバリーセンターの保有する 1600 種の既知化合物ライブラリーを用い,384well フォーマットでスクリーニングを実施した.薬剤添加後,3 時間ごと 48 時間までの核小体画像を収集し,AI 解析法を用いて核小体異常を検出した結果,280 化合物が初期ヒットとして抽出された.その後,目視により細胞死に伴う偽陽性を排除し,最終的に 13 化合物を一次ヒット化合物として選定した.この中には,既に核小体に影響を与えることが知られているドキソルビシンが含まれており,本スクリーニング系の妥当性を裏付ける結果となった.一次ヒット化合物の Validation を行うため,濃度依存的な効果が認められるか,それぞれの化合物の添加時での核小体変化を観察した(図4).その結果,ヒット化合物のうち,9 種が濃度依存的に核小体を阻害した.また,ヒット化合物は白血病細胞のコロニー形成能を有意に阻害することが明らかとなった.以上の結果は,これらの化合物が細胞増殖や生存に実質的な影響を与えることを示唆している.小規模スクリーニングを実施して明らかになった課題として,細胞死に起因する核小体異常をより厳密に判定する必要がある.今後,教師あり学習を用いて死細胞判定アルゴリズムを画像解析に組み込み,目視確認不要な自動化解析に向けて解析系の改良を進行中である.また,現在は 48 時間時点のみのデータを用いてスクリーニング結果を得ているが,データ自体は 0-48 時間まで経時的に取得している.今後は早期の変化を検出するようプログラムを改善する.― 71 ―

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