令和6年度_2024_助成研究報告集
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上昇し,RA滑膜におけるBUB1の発現と疾患活動性の間に,有意な正の相関が認められることを見出した.図1.Bub1の同定と疾患活動性との相関これらの結果から,BUB1はRA病態の増悪に寄与すると考えられ,BUB1の機能を阻害することが新たなRA治療戦略となる可能性が示唆された.そこで,滑膜炎組織においてBub1を発現する細胞種を同定するため,関節炎を自然発症するK/BxNマウスの滑膜炎細胞からFlow Cytometoryで様々な細胞種を分取し,Bub1の発現をRT-qPCRにより解析した.その結果,好中球マーカーLy6gを発現するMyeloid系の細胞 (好中球・好中球前駆細胞等; CD45+, CD11b+, Ly6g+) がBub1を高発現することを見出した.そこで,ミエロイド系細胞種特異的Bub1欠損マウス (Bub1ΔLysM) を作出し,関節炎を誘導した.その結果,関節炎病態においてBub1ΔLysMマウスは対照群と比較して明らかな差を認めなかった(図2).図2.関節炎誘導後の臨床所見(左)と後足部の厚み(右)一方で,骨密度解析を実施したところ,大腿骨全体(図3a),特に遠位骨幹端部分(図3b)における骨密度がBub1ΔLysMで有意に減少していることが明らかになった.マイクロCTによる解析では,海綿骨部分の骨量減少を示すことが明らかとなった(図3c).骨形態計測を行うと,Bub1ΔLysMにおいて破骨細胞形成が亢進していることを見出した.― 37 ―

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