図 2. Pickering エマルション共存下でのラセミ化および KRエマルション存在下,KR 触媒に HyperBTM 3)を用いてアシル化反応を行った.このとき,生成するキラルエステルの収率ならびに光学純度は,有機溶媒中で同様のアシル化反応を行った場合と同程度の値を示した.これは,Pickering エマルションによる反応場の分離を活用すれば,水や酸の存在下であっても KR を進行させられることを表す(図 2).おわりに前述のとおり,キラルアシル化触媒を Pickering エマルション共存下で用いることで,第三級アルコールの KR とラセミ化がそれぞれ進行することを見出した.これは,Pickering エマルションによる反応場の分離を活用することで,第三級アルコールの DKR が実現可能であることを示唆している.今後,反応条件のさらなる最適化によって種々第三級アルコールの新規 DKR 法を開発する.謝 辞本研究の遂行にあたり,奨学金のご支援を頂いた公益財団法人 中外創薬科学財団 に厚く御礼申し上げます.引用文献 1. doi.org/10.1002/chem.20230402, 20242. doi.org/10.1002/cctc.202300878, 20233. doi.org/10.1039/C0OB00515K, 2011― 326 ―
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