令和6年度_2024_助成研究報告集
320/332

図 3. Lobatamide A (1a) 及び C (1b) の合成戦略図 4. 実際の合成経路実験方法Lobatamide A (1a) 及び C (1b) の合成戦略を図 3 に示す.1 の有するエナミド側鎖の導入は,佐藤らの手法 1)に従うこととし,前駆体となるアルキン 2 を形式合成の標的化合物に設定した.2 はlobatamide 類 (1) を特徴付ける 15 員環ジラクトンと C-15 位ビスアリルアルコールを有しておりその構築が鍵となる.本研究では野崎 – 檜山 – 高井 – 岸 (NHTK) 反応を用いることで,マクロ環構築とC-15 位の立体を一挙に達成できると期待した.環化前駆体となるアルデヒド 3 は,容易に合成可能なサリチル酸誘導体 4 とβ-ヒドロキシエステル 5 とから合成可能であると考え合成に着手した(図 3).結果及び考察サリチル酸誘導体 4 はクレソチン酸 (6) から鈴木・宮浦反応等 4 工程で得た.β - ヒドロキシエステル 5 は ( S )- エピクロロヒドリン (7) から 6 工程でカルボン酸 8 とした後,ビニルヨージドを導入することで得た.この 4,5 をエステル化反応によりエステル 9 とし,3 工程で環化前駆体 3 に変換した.この 3 を NHTK 反応の条件に付すと期待通り環化体生成物 10 が優先的に得られた.最後に TIPS 保護を施すことで TIPS 保護体 2 が得られ,lobatamide A (1a) 及び C (1b) の形式合成を達成した(図 4)2).― 318 ―

元のページ  ../index.html#320

このブックを見る