令和6年度_2024_助成研究報告集
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線維のみが写った粒子像を選別した.選別した粒子像を平均化した結果,線維内部の詳細な構造が視認できる良質な二次元平均像が得られた(図1B).二次元平均像は立体構造の投影であるため,良質な二次元平均像は三次元構造解析に不可欠である.これらの平均像を与える粒子像それぞれ66,328,46,024個をもとに三次元再構成を行った結果,P362L変異体では3.41Åの分解能で立体構造モデル取得に成功した(図1C).一方,A381T変異体では粒子数不足により分解能は9.90Åに留まった.P362Lクライオ電顕写真ABC二次元像分解能3.41Å立体構造モデル5,976枚66,328粒子46,024粒子3,351枚A381T粒子像抽出&平均化3D再構成図 1 本研究で実施したCryo-EM解析の流れおわりにAutopickingで得られた粒子像では目標の分解能に到達しなかった.現在はその対策として,解析ソフトRelionを用いた手動粒子抽出による粒子数増加を試みており,A381T変異体については全画像から手動抽出を行い,現時点で1,100,844個の粒子を取得済みである.選別の結果,90,837個が解析に適すると判断された.一方,P362L変異体については画像枚数が多いため,手動ではなく機械学習ベースのTopaz autopickingを導入し,精度向上を図っている.本研究の成果を足がかりに,TIA-1アミロイド線維の構造解明をさらに推進し,神経変性疾患の病態理解と創薬への貢献を目指す.謝 辞本研究をご支援頂いた公益財団法人 中外創薬科学財団様,クライオ電子顕微鏡を利用させて頂いた大阪大学生命機能研究科難波研究室の皆様,透過型電子顕微鏡を利用させて頂いた京都大学大学院医学研究科附属総合解剖センターの皆様,多くの助言を下さった京都大学大学院理学研究科杤尾研究室の皆様に,心より感謝申し上げます.引用文献 1. DOI: 10.3390/ijms23031400, 20222. DOI: 10.1016/j.neuron.2017.07.025, 2017― 316 ―

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