― 312 ―体価の上昇を認めた．以上の結果から Fbn1C1041G/+ マウスに対する投与実験では A ワクチンを使用することとした．〈実験②〉10 週齢の Fbn1C1041G/+ マウス A ワクチン投与群とコントロールワクチン投与群を比較すると，前者で大動脈基部径と上行大動脈径が有意に抑制された．16 週齢についても，引き続き後者と比較し前者で大動脈基部径が有意に抑制されていた．16 週齢で大動脈壁の EVG 染色，Alcian blue 染色，MTG 染色を行うと，前者は後者と比較し，エラスチンの断裂やプロテオグリカンの貯留，外膜周囲の線維化が著明に抑制されていた．おわりに今回の研究から MFS の疾患モデルマウスが大動脈瘤進展を抑制させる可能性が示唆された．将来的にはヒト MFS 患者に対する臨床応用を目指し，新たな治療戦略を確立したい．謝 辞本研究の実施にあたり，ご支援を賜りました公益財団法人 中外創薬科学財団に深く御礼申し上げます．また研究のご指導を下さりました東京大学大学院医学系研究科 武田 憲彦 教授，赤澤 宏 講師，八木 宏樹 助教に心より感謝申し上げます．引用文献 1. Habashi JP, Judge DP, Holm TM, Cohn RD, Loeys BL, Cooper TK, Myers L, Klein EC, Liu G, Calvi C, Podowski M, Neptune ER, Halushka MK, Bedja D, Gabrielson K, Rifkin DB, Carta L, Ramirez F, Huso DL, Dietz HC: Losartan, an AT1 antagonist, prevents aortic aneurysm in a mouse model of Marfan syndrome. Science, 312:117-121 (2006). 2. Nakagami F, Koriyama H, Nakagami H, Osako MK, Shimamura M, Kyutoku M, Miyake T, Katsuya T, Rakugi H, Morishita R: Decrease in blood pressure and regression of cardiovascular complications by angiotensin II vaccine in mice. PLoS One, 8:e60493 (2013).
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