テキサス大学オースティン校大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻器官形態制御学研究室・教授進藤 麻子招聘される研究者 John B. Wallingford受 入 研 究 者(大会長)成果報告2024 年 11 月 24 日から 26 日に,千里ライフサイエンスセンター(1日目)及び大阪大学豊中キャンパス(2-3 日目)にて第1回アジアツメガエル会議を開催した.ツメガエルは発生生物学をはじめ,基礎生物学や基礎医学分野で重要な役割を果たしている実験動物であり,国際ツメガエル会議はこれまでに主に米国と欧州で 2 年毎に開催されてきた.最近では 2023 年に第 19 回国際ツメガエル会議が米国で開催され,コミュニティ間での交流や情報交換は研究推進に必須の場となっている.本会議は,ツメガエルを研究材料とするアジア圏の研究者が集い,地理的な近さを活かして知識や技術を共有し,研究活動に新たな基盤を築くことを目的とする初の試みとなった.参加者は 83 人で,日本人は 41 名,国外からは韓国からの参加者が最も多く,米国からの基調講演者 2 名を含めると 42 名となり,盛況な会となった.3 日間で合計 29 の口頭発表と,27 のポスター発表を行い,特にポスター発表では初めて国際学会で発表する国内の学生もおり,良い経験となったとの声を聞いた.口頭発表には国内からも著名な研究者を招待し,また,ツメガエル以外を研究材料とする研究者もお呼びしたことにより,内輪のみの会にとどまらないより発展的な会となった.また,アジア人が多いことを見込んで英語での科学論文の執筆に関するレクチャーの時間や,地理的に近いことを活用したリソースの共有について議論する場など,アジアの会の特色も打ち出せた.本助成金で招聘した Dr. John Wallingford はアメリカ発生生物学会や国際ツメガエル会議でも中心的な人物である.今回,初の試みとなった第1回アジアツメガエル会議に Wallingford 博士を招待できたことは,日本およびアジアのツメガエルコミュニティ,特に若い世代の研究者,学生たちにとって良い機会となったように思う.海外の学会に参加する経験がまだなかった学生たちにとっては,Wallingford 博士から研究の話のみならず,米国でのツメガエルコミュニティのこと,科学を一般社会に広める考え方を聞くことができ,貴重な機会であったと思う.当初より参加者 80 名前後を目指して企画してきたが,その規模な会で,日本で研究する学生たちが米国の著名な研究者と直に交流できる場を設けられたことは大変有意義だった.今回の日本国外のアジア圏からの参加者は主に韓国からであった.日本で開催する会議であるにもかかわらず,韓国側研究者の本会の実現には多大な協力をいただいた.招聘した Dr. John Wallingford の研究室で学位をとった研究者が韓国にも複数おり,彼らの Wallingford 博士を招待したいという熱意と博士への敬意を考えても,本助成金によって招聘が実現できたことは改めて感謝を申― 301 ―第1回アジアツメガエル会議(2024 年 11 月 24 日 ~ 11 月 26 日)
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