招聘される研究者 Alexander Meissner受 入 研 究 者(大会長)成果報告こ の 度, 第 5 回 KEY FORUM/ 第 39 回 熊 本 医 学・ 生 物 科 学 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム「Frontiers in Epigenetics: Health and Disease Pathways & Reproduction Dynamics」を,熊本市国際交流会館において,完全オンサイトで開催しました.海外招聘研究者 5 名,国内招聘研究者 15 名を含む,計 35件の口頭発表に加え,若手研究者を中心に 40 題のポスター発表が行われ,エピジェネティクスの観点から発生,老化,生殖,疾患に関する活発な議論が交わされました.3 日間の大会期間中,延べ273 名が参加し,盛況のうちに大会を終えることができました.大会初日は,初期発生および生殖細胞におけるエピジェネティック制御に関するハイレベルな発表が続きました.公益財団法人 中外創薬科学財団のご支援により招聘した Alexander Meissner 教授には,「Non-canonical epigenetic regulation in development」というタイトルで,哺乳類の初期発生過程における DNA メチル化制御について最新の知見をご紹介いただきました.また,初期胚におけるDNA メチル化制御の研究が,がん化の理解にもつながることを示す未発表データについてもお話をいただきました.Meissner 教授の先駆的な研究に対して多くの質問が寄せられ,活発な質疑応答が行われました.大会 2 日目の午前には,クロマチン制御の分子メカニズムや,エピジェネティック研究のための革新的なツールの開発について,最先端の研究発表が行われました.午後は,炎症,がん,加齢に関する研究が発表され,エピジェネティクス研究の臨床的意義について熱い討論が交わされました.また,2 日目の夜には,若手研究者と招聘研究者が飲食をしながらフランクに交流できる場として,ポスター発表と懇親会を同時開催しました.3 時間近くにわたって活発な議論が続き,参加者が親睦を深めました.最終日には,生活習慣病や神経疾患とエピジェネティクスに関する発表が行われました.以前はジャンク DNA とされてきたトランスポゾンの新たな機能や制御に関する研究発表が相次ぎ,最後まで活発な議論が続きました.大会期間を通じて,各セッションで多くの質問が寄せられ,休憩時間にも活発な討論が続いたことが印象的でした.研究対象となる生命現象は多岐に渡りましたが,エピジェネティクスという共通テーマを通して,参加者同士の活発な交流が促進され,大変有意義な大会となりました.Max Planck Institute for Molecular Genetics熊本大学発生医学研究所胎盤発生分野・教授岡江 寛明― 299 ―第 5 回 KEY FORUM/ 第 39 回熊本医学・生物科学国際シンポジウム(2024 年 11 月 20 日 ~ 11 月 22 日)
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