令和6年度_2024_助成研究報告集
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AbstractAdvances in human cellular models have enabled the modeling of human neural development in vitro. Notably, assembloids, an integration system of 3D organoids, can capture human neural circuit functions. By establishing region-specific neural organoids, four-part human brain assembloids were developed that include sensory input to the cerebral cortex via spinal and thalamic integration. This finding will facilitate our understanding of human neural circuits.はじめにヒト iPS 細胞からの神経誘導技術の発展により,今まで研究困難であったヒトの神経系研究が可能となってきた.特に,試験管内で中枢神経系の 3 次元組織構造を模倣できる脳オルガノイドは,神経発生のメカニズムや神経疾患の病態機序解明,進化の過程でのヒト特異的な機能の獲得など,従来の動物モデルではアプローチできなかった様々な研究に活用されている.一方で,脳オルガノイドは局所的な脳領域を模倣するものであるため,複数の脳領域にまたがる機能,特に神経回路の研究は困難であった.この問題を解決するために,筆者の所属する研究室は,複数種類のオルガノイドを結合させることで,試験管内で神経回路形成をモデルするアセンブロイドという実験系を世界に先駆けて開発してきた 1).運動機能を司る皮質脊髄路 ( 大脳皮質 – 脊髄 – 骨格筋 )2) や,線条体 – 大脳皮質 3),視床 – 大脳皮質 4) の間の回路形成をアセンブロイドで再現することに成功してきた.本研究では,末梢組織から大脳皮質へ感覚情報を伝える脊髄視床路 ( 末梢感覚神経 – 背側脊髄 – 視床 – 大脳皮質 ) に着目し,アセンブロイドを用いて,この神経回路の試験管内モデルを作成した.まず,4 領域それぞれの特性を有するオルガノイドを作成し,その遺伝子発現,機能を検証した.それらのオルガノイドを直線状に結合することでアセンブロイドを作成した.その神経機能をカルシウムイメージングにより観察した.最後に,このアセンブロイドを用いて,体性感覚に異常を来たす疾患のモデリングを行なった.このアセンブロイドによって,ヒト神経回路研究がより一層進むことが期待さ今泉 研人Kent ImaizumiStanford University・Postdoctoral Scholar― 288 ―オルガノイド / アセンブロイドを用いたヒト神経回路を用いた神経疾患研究Human assembloid model of neural circuit

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