現在は,Prime editing 技術によって構築された疾患モデルマーモセットを用いた治療介入実験を進めており,その成果は今後,霊長類における遺伝子治療の可能性を検討する上でも重要な足がかりとなると期待している.本研究は,動物モデルとしてのマーモセットの有用性,AAV ベクターの応用可能性,そして霊長類に固有の神経回路の意義を明らかにする一歩となった.今後も引き続き,霊長類脳に特有の神経細胞とその回路の研究を深化させることで,人間の脳の複雑性と精神疾患の本質に迫っていきたいと考えている.謝 辞このプロジェクトを進行するにあたって,公益財団法人 中外創薬科学財団の支援はもちろんとして,MIT McGovern Institute Internal Found からの大きな支援を受け,また Feng Lab (MIT) および Fu Lab (Broad Institute) のメンバーの多大な協力に対してここに謝意を示します。引用文献 1. 10.1126/science.add7046, 20232. 10.1126/science.adf9941, 20233. 10.1016/j.celrep.2022.111768, 20224. 10.1038/nbt.3440, 20165. 10.1038/s41586-019-1711-4, 2019― 287 ―
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