令和6年度_2024_助成研究報告集
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経て,50%の効率にて褐色細胞腫への適応が期待される211At標識メタアスタトベンジルグアニジン(MABG) 4)の合成に成功した(図6).なお,アスタチンには安定同位体が存在しないため,MABGの純度については対応するヨウ素化体(MIBG)を比較対象とし,HPLC分析にて評価し,十分な純度で得られていることを確認した.今後は,臨床応用可能な量の合成を目指したスケールアップ検討を実施していく予定である.図6.自動合成装置を利用した固相担持ヨードニウムイリドからの211At標識化、Boc除去、精製の実施おわりに以上,がん治療への応用を目指した211At標識法の開発をおこなった.本研究を通じ,211Atを利用した放射性医薬品開発における合成化学的な障壁を取り除くことができたと考えている.固相担持ヨードニウムイリドをカートリッジ化することで,簡便な自動合成装置への組み込みが可能になると期待される.また,今後,α線放出核種を実用化していく上では,放射標識医薬品を製造する医療機器一式として品質を管理,運用していく方策が必要であり,国全体で一致団結した取り組みが求められる.謝 辞本研究は公益財団法人 中外創薬科学財団のご支援のもと実施したものです.ご支援に深く感謝いたします.また,北海道大学大学院薬学研究院:小川美香子教授,小川研究室の皆さん,ふくしま国際医療科学センター先端臨床研究センターの高橋和弘教授,北海大学大学院薬学研究院薬品製造化学研究室,および,京都大学大学院理学研究科集合有機分子機能研究室の皆さんの尽力に感謝いたします.引用文献…1. Makvandi M, Dupis E, Engle JW, Nortier FM, Fassbender ME, Simon S, Birnbaum ER, Atcher RW, John KD, Rixe O, Norenberg JP: Alpha-emitters and targeted alpha therapy in oncology: from basic science to clinical investigations, Target. Oncol., 13, 189 -203 (2018).2. Liang SH, Wang L, Stephenson NA, Rotstein BH, Vasdev N:Facile 18F labeling of non-activated arenes via a spirocyclic iodonium (III) ylide method and its application in the synthesis of the mGluR5 PET ― 24 ―

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