令和6年度_2024_助成研究報告集
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給可能な短いリンカー長のものを採用することとした.なお.本検討では臨床応用が期待されるグアニジン骨格を基盤とするMABGの合成反応での評価を行っている.図4.異なるリンカー長の固相担持ヨードニウムイリドの反応性検討・反応溶媒: DMF (ジメチルホルムアミド)あるいはMeCN (アセトニトリル)が使用可能であることを確認した.反応化学的な観点から,アスタチンアニオン種の求核性を最大限発揮させるには,極性溶媒が望ましいと理解できる.事実,極性の低い溶媒では標識効率が低下した.・温度と標識反応時間:極性溶媒中で高温にすると,望みのアスタチン標識反応と副反応であるヨードニウムイリドの分解反応が競合することが確認された.副反応を最小化しつつ,望みの標識化を実施するための温度と反応時間を検証し,100 ℃,30分で十分な標識化率が達成できることを確認した.なお,アスタチン-211の半減期が短いことを考慮すると,標識反応は30分以内に終わらせるのが好ましく,温度を60 ℃以下に下げる条件は適切ではなかった.・添加剤:還元剤やラジカル捕捉剤の添加が有効であることを確認した.実験条件を精査した結果,アスタチンアニオンは酸化されやすい性質があると推測され,還元剤がアニオン状態を保持するのに有効であり,ラジカル捕捉剤はヨードニウムイリドの分解を抑制する効果があると予想している.<最適パラメータを組み合わせた実験結果>上記の各種パラメータ検討の結果を踏まえ、最適な固相担持ヨードニウムイリドを決定し、最適反応条件にて211At標識化を実施したところ、Boc保護MABG前駆体(MABG = 211At標識メタアスタトベンジルグアニジン)を66%の標識率で得ることに成功した(図5)。図5.最適条件における固相担持ヨードニウムイリドからの211At標識化<自動合成装置を利用したアスタチン標識と脱保護によるMABG合成>最後に,最適化した固相担持ヨードニウムイリドをカートリッジとし,自動フロー合成装置に組み込んだ上で,211At標識化とBoc基の除去,さらには,精製までを実施した.検討の結果,反応温度については80℃でも十分に満足いく標識率が得られることが判明し,211At標識化とBoc基の除去を― 23 ―

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