令和6年度_2024_助成研究報告集
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さらに,マウス精子頭部に局在する TEX46 が透明帯通過に必要な頭部形態形成に働くことを発見した(図 3)8).SPACA4-KO と TEX46-KO マウス精子は,どちらも通常条件および卵丘細胞除去処理した卵子に対して体外受精できなかった.そこで,卵丘細胞と透明帯を除去処理した卵子を用いたところ,どちらの KO マウス精子も受精することができた(図 4)4).つまり,SPACA4-KO と TEX46-KO マウス精子は透明帯通過不全が原因で不妊になることを明らかにした.以上より,受精の必須ステップである透明帯通過には,精子 GPI アンカータンパク質 SPACA4 と未知の卵子側レセプターとの「タンパク質間相互作用」,TEX46 が関与する「精子頭部形態維持」,そして透明帯通過の推進力となる「精子運動性」の三位一体が必要不可欠であることが示唆された.図 3. TEX46-KO マウス解析図 4. SPACA4 は精子の透明帯通過に必要― 205 ―TEX46 が精子頭部形成に必須で,先端部分は透明帯通過に機能する 5).精子頭部に局在する SPACA4 を欠失すると,精子は透明帯通過障害を示すことが体外受精試験により明らかになった 4).

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