令和6年度_2024_助成研究報告集
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に低下させられることを確認した(図 7).同タンパク質発現 CAR-T 細胞のアロ反応性を評価するため,THP-1 細胞と共培養して,細胞傷害活性を定量した.この共培養では CAR とは無関係に,T 細胞が生理的に有する TCR を介して,THP-1 の HLA 上の抗原を認識してアロ反応が起こる.図 7Bに示されるように,アロ細胞(THP-1)に対する反応は,TCR をノックアウトした場合と同程度まで低下した.すなわちゲノム編集によらずに TCR 発現を十分に低下させることで,GVHD を抑制できる可能性が示唆された.本研究開始以前に HIV 由来の NEF 分子が TCR 発現を低下させることを確認していたが,同分子は 1000 bp 以上の長さがあるのに対して,分子 A, B は 300 bp 以下と短く,CAR と同一ベクター内に容易に組み込めることから,遺伝子導入の観点からも扱いやすい分子であると考えられる.図 5.NKG2A/NKG2C の発現比較.代表的な 2 ドナーの FACS plot を示す.Donor 3 では NKG2A優位に発現が見られるのに対して,Donor 13 では NKG2A/NKG2C の発現割合はほぼ同等であった.図 6.ICP47 による HLA class I 発現抑制後,HLA-E を過剰発現させた上で NK 細胞による反応をCD107a の発現により評価した.Donor 3 では HLA-E は抑制性に働いたが,Donor 13 では逆に NK 細胞の反応性を高めた.― 189 ―

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