図 1.CID の動作確認FRB(FKBP-rapamycin binding domain of FKBP12-rapamycin associated protein) を 融 合 し た.FKBP と FRB は、有機小分子ラパマイシン(Rapamycin)の添加によって結合する性質を持つため、ラパマイシン存在下で強制的にヘテロダイマー化し、人工的に SEPT/MYO 複合体を構築する.SEPT の N 末と C 末に FRB または FKBP を融合させた.同様に MYO にも融合させた.FRB または FKBP の融合により立体障害が生じ、タンパク質複合体形成に影響を与える可能性が想定されるため、株化細胞(COS-7 細胞)に CID プラスミドを導入し、ラパマイシン添加による複合体形成を指標に最適な組み合わせを決定した.MYO-FKBP と SEPT-FRB の局在を可視化し、両者の共局在を検出した実験の結果、SEPT の N 末に FRB を MYO の N 末に FKBP を融合させると CID が誘導できることがわかった(図 1).株化細胞においては十分な複合体形成が観察できたものの、初代培養神経細胞は脆弱でプラスミドの過剰発現の影響により形態変化が誘発されてしまうことが多く散見されるため、十分な複合体形成が観察できなくなることを想定し、小胞体膜タンパク質と SEPT もしくは MYO の組み合わせを試行した.小胞体膜タンパク質は CID によりオルガネラ間を架橋する際に使用されている.実験の結果、SEPT と小胞体膜タンパク質、MYO と小胞体膜タンパク質のいずれの組み合わせにおいても十分な複合体形成が誘導できることがわかった.実験を進める中で、rapalog での誘導前から長時間 CID プラスミドが発現することが細胞の状態に悪影響を及ぼすことがわかったため、CID 誘発プラスミドを tet-on のシステムを用いた誘導系ベクターへ組換えを行い、DOX による CID プラスミドの誘導時間の最適化と DOX 濃度の最適化を終えた.計画 2:ニューロンで ER 局在操作の動作確認初代培養神経細胞に tet-on システムによる誘導可能な CID プラスミドを導入し,実験 24 時間前(培養 20 日目)に DOX によりプラスミドの発現を誘導し,小胞体含有スパインの割合を算出した.申― 174 ―
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