令和6年度_2024_助成研究報告集
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図 3. マウス造血幹細胞を用いた R-loop の検出(intergenic region) にも認められており,この結果もヒト細胞株での R-loop の分布に類似したものであった.したがって,200,000 個もの少ない細胞数のプライマリー細胞を用いて R-loop を検出する実験系の確立に成功した(図 3).おわりに本研究では,スプライシング因子 SRSF2 変異および U2AF1 異に関するコンディショナルノックインマウスの解析より,スプライシング異常や発現異常の共通する標的や異なる標的を明らかにできた.さらに,マウスの造血幹前駆細胞を用いた CUT&Tag により,200,000 個もの少ない細胞数のプライマリー細胞を用いて R-loop を検出する実験系の確立に成功した.今後,スプライシング因子変異細胞で,どのような異常 R ループが生じるのかを探索することを通じて,発現や転写後調節の破綻に起因する MDS の分子病態を解明することを目指している.謝辞本研究の共同研究者である,京都大学大学院医学研究科・腫瘍生物学講座 小川誠司先生,中川正宏先生,東京大学医科学研究所・血液腫瘍内科 南谷泰仁先生,かずさ DNA 研究所 中山学先生,理化学研究所 古関明彦先生にこの場を借りて感謝申し上げます.本研究は,公益財団法人 中外創薬科学財団による研究助成(令和 5 年度 研究助成金 II)を受けて行うことができました.中外創薬科学財団並びにご関係の皆様方による手厚い研究支援に深く御礼申し上げます.― 157 ―

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