令和6年度_2024_助成研究報告集
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じるスプライジング異変の比較図 2. スプライシング因子変異により生100,000 細胞を用いて,R-loop を特異的に認識する S9.6 抗体を用いた CUT&Tag 法をおこなった.ポジティブコントロールとして H3K27me3,ネガティブコントロールとして 2 次抗体(IgG 抗体のみ)を用いた CUT&Tag も併せて行った.作成したライブラリーを次世代シーケンサーでデータ取得を行った.結果及び考察1. 異なるスプライシング因子変異による MDS の病態の比較解析MDS で同様に高頻度に変異を認める U2AF1 変異に関する条件的ノックインマウスの作製と解析を行った.非競合移植にて,U2af1 変異マウスは,血球減少と異形成,脾臓での無効造血をみとめ MDS を発症した(図 1).造血幹細胞の RNA-seq にて,カセットエキソンの異常が最も認められ,よりスキップされたエキソンの 3’ スプライス部位の 3 塩基上流のコドンは T が多く占めており,U2AF1 変異タンパクでは 3’ スプライス部位直上が UAG モチーフの場合により exclude されやすくなると考えられた.Srsf2 変異と U2af1 変異でみられたスプライシング異常を比較解析した結果,U2af1 変異で特異的にスプライシング異常を示す標的遺伝子,および Srsf2 変異と U2af1 変異で共通してスプライシング異常を示す標的遺伝子を同定した(図 2).図 1. U2af1 S34F 条件的ノックインマウス2. マウス造血細胞を用いた R-loop ゲノムワイドマッピング手法の確立R-loop のピークは,500,000 細胞,200,000 細胞スタートの時のいずれでも,TSS 領域を中心として検出された.さらに,RnaseH 処理によりこれらのピークが消失したことから,検出したピークはR-loop に特異的なピークであることを示している.100,000 細胞を用いた場合には,ピークの検出能は大きく低下した.ピークの分布は,細胞株での既報を再現するものであり,H3K27me3 抗体を用いた評価でも既報を再現する結果であった.R-loop のピークが検出されたゲノム領域の特徴をアノテーションすることにより,ピークはプロモーター領域に濃縮するほか,イントロン / 遺伝子間領域― 156 ―

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