度で再検証したところ,化合物の代わりに溶媒のみを添加した TNF- α群と比較して,いずれも有意な炎症抑制効果を確認した(図 3B).図 3. 川崎病に最適化した AI 薬効予測モデルとin vitro での検証結果また川崎病患者の血漿検体を用いて DIA プロテオーム解析を実施したところ,responder 群と比較して poor responder 群の治療前検体で CD177 が有意に上昇しており,患者の血漿タンパクにおいても活性化好中球マーカー CD177 が川崎病の重症化に関与していることを見出した.また CD177 以外に,非発熱疾患よりも川崎病で有意に上昇し,川崎病の中でも responder 群より poor responder群でさらに上昇している血漿タンパクを同定した.おわりに本研究成果により,川崎病モデルマウスの冠動脈微小環境における経時的な mRNA 発現変化を網羅的に解析することができた.このデータを活用することで,川崎病に最適化した AI 薬効予測モデルを独自に構築し,複数の化合物で in vitro における炎症抑制効果が確認できた.今後は川崎病モデルマウスを用いて,上記化合物の冠動脈炎抑制効果を検証予定である.また川崎病患者の血漿検体を用いた DIA プロテオーム解析により,川崎病の新規診断バイオマーカーや治療抵抗性予測マーカー候補を同定した.これらの有用性を検証するため,岡山大学関連病院の計 7 施設において,計 250 症例の多施設臨床研究を実施中である.― 140 ―
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