令和6年度_2024_助成研究報告集
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図 2. Twin-strep-tag (TS) 融合ヒト SMS の精製Strep-tag(TS)融合 SMS を哺乳類細胞(HEK293)で発現し,Strep-Tactin XT を用いて高純度に精製し,in vitro で酵素学的性質を調べた.結果及び考察① 研究基盤の構築(PLC 精製法):SMS は 6 回膜貫通タンパク質であることから,活性を保持したまま高純度に精製し,酵素学的性質を調べるのが難しく,in vitro における SMS の酵素学的性質に不明点が多く残る 3).そこで我々は,哺乳類細胞を用いた PLC 酵素精製系を新たに構築した 4, 5).具体的には,ストレプトアビジンとビオチンの結合を利用したアフィニティークロマトグラフィー精製系を導入し,図 2 に示した通り,TS融合 SMS1 および SMS2 を高純度(95% 以上の純度)に精製することに成功している.② 精製 SMS1 および SMS2 は SMS 活性に加え,PC-PLC 活性を示す:精製 SMS1 の酵素学的性質を調べた結果,従来報告されている SMS 活性に加えて PC-PLC 活性を示し,さらに,SFA または一価不飽和脂肪酸(MUFA)含有 PC に対する選択性を示した.一方でPUFA のアラキドン酸(20:4, 脂肪酸の炭素数総和:不飽和度)含有 PC に対する PLC 活性は低かった 4).興味深いことに,SMS2 も同様に PC-PLC 活性を示し,SFA/MUFA 含有 PC に対する選択性を示した(図 3)5).以上より,SMSr に加えて,SMS1 および SMS2 も SFA-PC 選択的 PLC 活性を有し,SMS ファミリーは新奇 PLC 酵素群の 1 種であることが示唆された.― 127 ―

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