次に,Alexa Fluor 647 共役型抗 -TDP-43 抗体を加えて,TDP-43 陰性 / 陽性の神経細胞核の分離を試みた.TDP-43 陰性神経核を回収できることは確認しているが,NeuN 陽性 TDP-43 陰性細胞集団の割合は,全細胞核の 0.5% 程度(図3)とごく少量であり,DNA メチル化状態の解析には適さないと考えた.そこで,snmCAT-seq 法の解析を主軸とし,そのドライ解析の段階で,核内のTARDBP 発現量により,TDP-43 の核からの喪失を推定することとした.現在は,snmCAT-seq のプロトコール樹立を進めている.現在までのところ,マウスの凍結脳組織を用いて,組織から良好な単一核を抽出する方法を確立し,抗 NeuN 抗体で染色し,FACS によるプレートソーティングを行うところまで確立した.図 3. ALS 患者脳からの TDP-43 陰性神経核の分離おわりに今後は,snmCAT-seq の全工程をマウス脳組織で確立し,ヒトの脳組織への応用,及び ALS 症例における解析を進めてく予定である.謝辞本研究遂行にあたり,ご指導頂きました新潟大学脳研究所 脳神経内科学分野 小野寺理教授およびメイヨークリニックフロリダ Leonard Petrucelli 教授,本研究にご支援頂きました,公益財団法人 中外創薬科学財団の関係者の皆様に深謝申し上げます.引用文献1. DOI: 10.1093/nar/gkw499,発表年 : 20162. DOI: 10.1016/j.nbd.2019.104534,発表年 : 20193. DOI: 10.1038/s42003-021-02621-0,発表年 : 20194. DOI: 10.1016/j.celrep.2019.04.003,発表年 : 20195. DOI: 10.1038/s41586-022-04424-7,発表年 : 20226. DOI: 10.1016/j.xgen.2022.100107,発表年 : 2022― 105 ―FACS による解析.DAPI 染色により,核を分離.次に核集団から,NeuN 抗体と TDP-43 抗体により,TDP-43 陰性神経細胞核と TDP-43 陽性神経細胞核を分離して,集積.
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