中外創薬 助成研究報告書2023
96/324

部に示す多様なオキセタン含有化合物を合成することに成功した.ただしアルケンの構造は2置換に限定さており,1置換アルケンには適用できないことがわかっている. この点については4価アルキルコバルト錯体の環化のエネルギー障壁をDFT計算で調査した.その結果,1置換アルケンの由来の方が2置換アルケンに比べて7kcal/mol高くなることがわかっている.原料としてホモアリルスルホニルアミドを用い,窒素上の保護基をトシル基にすることでアゼチジン合成も可能であった.反応溶媒はジクロロメタンやトルエンが良好な収率を与え,オキセタン合成とは異なる最適溶媒であることがわかった.ただし,基質一般性の点では1置換アルケンが適さない点はオキセタン合成と共通の課題となっている.すべての生成物はトシル基を含んでいるが,様々な還元的条件を用いることで数種類の生成物に対する脱保護反応が問題なく進行することも確認している.おわりに上記手法は現在までに1置換アルケンに適さない方法であることがわかっている.したがって,不斉化には一定のハードルが存在する.実際に我々が行ったキラルコバルト触媒を用いた検討でも該当するオキセタンの単離は困難な状況である.現在は上記検討で合成した様々なホモアリルアルコールを用いて単純な環化反応とは異なるタイプの反応形式の研究を行っている.この反応に対して不斉― 94 ―図4. 基質一般性

元のページ  ../index.html#96

このブックを見る