中外創薬 助成研究報告書2023
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図4. ADRbの活性化による胆管増生の促進1.2.3 交感神経と胆管構成細胞の空間配置図2に示した発現解析で,胆管上皮細胞,門脈域線維芽細胞,星細胞がADRb2を発現していたが,胆管増生が門脈領域で起こる反応であることから,胆管上皮細胞と門脈域線維芽細胞への作用に注目することにした.交感神経が胆管上皮細胞を直接刺激している可能性を知るために,神経末端構造に存在する神経分泌小胞マーカーSynaptophysin(SYN)と胆管上皮細胞マーカーEpCAMの共染色を行った.胆管上皮細胞の基底膜側細胞膜近傍に多くのTH+SYN+の構造が認められた(図5A).しかしながら,すべての胆管上皮細胞がSYN(+)神経終末と近接しているわけではなかった.そこで,周囲に線維芽細胞が多い大型の胆管(小葉間胆管)と小型の胆管(細胆管)に区分して解析したところ,後者の胆管上皮細胞近傍にSYN(+)交感神経末端が多く認められた.一方,大型の胆管周囲では線維芽細胞近傍に多くのSYN(+)交感神経末端が認められた(図5B&C).図5. 胆管上皮細胞および門脈域線維芽細胞への交感神経末端構造の形成― 80 ―

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