中外創薬 助成研究報告書2023
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図3. 方法― 69 ―実験方法我々は,肥大PATが心不全に与える影響を検討するために,PATを外科的に除去したうえで大動脈縮窄術(transverse aortic constriction; TAC)による心臓圧負荷ストレスモデルを作成し,さらに高脂肪食を与えてPATの肥大を誘導した(図3).結果及び考察TAC4週後の心不全期において,肥大PATを有する群では心機能の低下が強く現れたのに対して,PATを除去した群では心機能が維持された.この結果から臨床研究の結果と同様,マウスモデルにおいても肥大PATが心不全を増悪させることが示された(図4).肥大PATでは,正常PATに比べ免疫細胞の集積と炎症性サイトカインの増加が認められるとともに,心筋の線維化が増加していた.これらの結果は肥大PATが何らかの因子を介して心筋に作用していることを想起させる.そこで現在は,PATの1細胞トランスクリプトーム解析を進めており,肥大PATに特徴的に現れる細胞種や分泌因子の特定を試みている(図5).図4. 圧ストレス後の心不全は高脂肪食負荷により増悪しPeAT除去により解消される

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