中外創薬 助成研究報告書2023
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図3. T 前駆細胞における発生段階特異的な RUNX 転写因子揮する分子メカニズムの解明に向けた実験を行っている.図4. タモキシフェン依存的な RUNX1 の核移行と発生段階特異的な RUNX1 タンパク質複合体の精製おわりにT細胞急性リンパ性白血病 (T-ALL)は,未熟なT前駆細胞が過剰に増殖する悪性腫瘍である.RUNX1は悪性度の高いT-ALLを引き起こす最も主要な原因遺伝子のひとつとして知られている.T-ALL患者におけるRUNX1遺伝子の体細胞変異は,DNA結合ドメインとタンパク質相互作用に関わる機能ドメインに集中しており,これらの変異型RUNX1はドミナントネガティブ体として働き,RUNX転写因子の生理的な機能の一部を破綻させることで腫瘍化を誘導すると推測されているが,その分子メカニズムは不明である.本研究では,T細胞の初期発生における生理的なRUNX転写因― 56 ―

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