― 51 ―おわりに本研究は従来より高感度なエピジェネティック修飾解析法をもちいて,各若齢・老齢マウス個体から得られた造血幹細胞を解析することにより,造血幹細胞老化における主要な分化・休止維持・生存プログラムの変容がエピジェネティックな変化を基盤として引き起こされていることを示唆する結果を得た.本研究ではさらに造血幹細胞において低レベルに発現する複数の血球分化関連転写因子の加齢にともなう発現消失と,ヒストン修飾状態変化との関連を示唆する結果を得ている.これらの転写因子が幹細胞老化抑止の鍵となっている可能性を含め,本成果をもとにした未知の幹細胞老化メカニズム解明の進展が期待される.謝 辞本研究実施にあたり御助力いただいた坂本祐梨子氏を初めとするラボメンバー各位に深く感謝を表します.引用文献1. doi: 10.1084/jem.20192283. (2021)2. doi: 10.7554/eLife.46314. (2019)3. doi: 10.1038/s41556-018-0054-y. (2018)4. doi: 10.1038/nature02989. (2004)5. doi: 10.1038/s41586-020-03129-z (2021)6. doi: 10.1016/j.stem.2010.01.005. (2010)7. doi: 10.1038/nature12631. (2013)8. doi: 10.1016/j.cell.2017.04.018. (2017)
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