図3. Suv39h1のユビキチン化部位の同定[Suv39h1 のユビキチン化部位の同定]FLAG-Suv39h1 の野生型とΔN変異体を発現するマウス胚性幹細胞からタンパク質を精製し,IP-MS/MS によりユビキチン化部位の同定を行った.その結果,Suv39h1 のメチル化酵素活性中心であるSET ドメインの周辺に位置するリジン残基(K202,K214,K2661,K401)が,ΔN変異体で顕著にユビキチン化されていることが分かった.このことから,HP1 と結合できないSuv39h1変異体は,SET ドメイン周辺でユビキチン化修飾を受け,プロテアソームによる分解に至ると考えられた(図3).今後,これらのリジン残基に変異を導入したノックインマウスを作製することで,生体内におけるSuv39h1 のユビキチン化の役割が明らかになることが期待される.[Setdb1 のユビキチンE3 リガーゼの同定]TurboID 法によって,Setdb1 の野生型および変異体と相互作用する因子の探索を行った結果,Setdb1-3A 変異体に特異的に濃縮される因子としてE3 リガーゼでTrim27を同定した(図4).Trim27はRING ドメインを有するE3 リガーゼであり,転写抑制因子としての機能が報告されているが11),基質は不明な点が多い.そこで次にTrim27 がSetdb1 を基質としてユビキチン化できるかどうかを検証するために,293T細胞にSetdb1-3A とTrim27 を共発現させ,Setdb1 のユビキチン化の有無を調べた.その結果,Trim27 の発現に伴ってSetdb1-3A のポリユビキチン化が検出された(図4).したがって,Trim27 がSetdb1 のE3 リガーゼとして機能し,Setdb1 の分解を促進している可能性が高い.Setdb1 のユビキチン化部位の同定については今後の課題である.― 44 ―
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