図1. 樹状細胞分化に伴うクロマチン高次構造の変化細胞の調整脾臓細胞は脾臓をリベラーゼおよびDNase I処理することにより得た.骨髄細胞は大腿骨および脛骨の髄腔をバッファーで洗浄して採取した.細胞は蛍光標識抗体で染色し,FACSAriaによりソーティングを行った.BPDCN細胞株CAL-1は10%FBS含有RPMI1640培地で維持した.Hi-CHi-C解析は過去の方法に従った13).細胞を1%ホルムアルデヒドで固定し,核を分離後,DpnIIにより酵素処理した.DNAのオーバーハングをKlenow DNA polymeraseを用いてビオチン標識核酸にて標識した.その後,T4 DNA Ligaseによりライゲーションを行った.ライゲーションされたDNAはフェノール-クロロホルム-イソアミルアルコールで精製し,Covaris ME220で剪断化した.ビオチン標識DNAフラグメントを濃縮するためにStreptavidin C1ビーズを使用した.KAPA hyper prep kitを用いてHi-Cライブラリを作製した.各Hi-CライブラリはIllumina HiSeqあるいはNextSeq 500でシーケンスした.Hi-Cデータ解析最初のHi-Cデータ処理は,Homerソフトウェアウェブサイトの指示に従って行った.核内コンパートメントの同定は,Homer runHiCpca.plモジュールを使用して実施した.トポロジカル関連ドメインはJuicer Arrowheadアルゴリズムを使用して同定した.結果及び考察最近の次世代シーケンス技術の発展により,Hi-C法(染色体立体配座捕捉法)などによって細胞核内のクロマチン高次構造を全ゲノム規模で解析できるようになった13).本研究ではマウス生体に由来する樹状細胞と複数段階の骨髄前駆細胞を用い,Hi-C法でクロマチン高次構造の変化を網羅的に解析した.その結果,樹状細胞に特徴的に発現する遺伝子を含むDNA領域では,樹状細胞前駆細胞の段階でエンハンサーの活性化が起こり,その後核内コンパートメントと呼ばれるクロマチン高次構造が活性化型に変化し,最終的に樹状細胞に分化する段階でトポロジカル関連ドメインと呼ばれる構造が強く形成されることがわかった(図1)4).― 37 ―
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