表1. 第3級アルコール1aを用いたKR条件検討を 光学純度99%光学純度99%使用 を 当量添加の収率― 316 ―結果及び考察始めに,アルキル鎖の長さが異なるアシルドナーを検討した所,ヘキサン酸ビニルで最もよく反応が進行し,25 ℃,24時間で(R)-2aを36%収率,光学純度99%で与えた(表1, entry 3).更なる反応加速のため,イソオクタン溶媒やCAL-Aの使用量を増やした検討も行ったが改善しなかった.そこで,アシルドナーの加水分解で生じるカルボン酸を塩基で中和することがCAL-Aの活性向上に重要ではないかと考えentry 3の条件にNa2CO3を添加した.その結果,予期した通り反応速度が改善し46%収率で2a を得た(entry 7).以上より,塩基の添加がDKRの反応時間短縮に必要であると考えられた.次に,entry 7の条件でCAL-Aの基質適用性を調査した所,新たに6例のDKR候補化合物を見出した(図2).ベンゼン環に6員環が隣接した骨格を有する基質(1c-1d)は30%を超える収率と高い選択性(E>100)を示した.特に,4位に酸素や硫黄を有する基質にも適用可能であった.また,この検討でベンゼン環上の置換基の位置が反応性に大きく影響することが判明した.6,7位の置換基は反応性への影響が少ないが(1c-1d),5位に置換基を有する1hでは反応性が著しく低下した.ベンゼン環に5員環が隣接した1gを用いた際は選択性がやや低いが(E=31),4時間後に41%収率で2gを与えた.私は,上記の成果ついて論文を発表した2).
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