学習モデルを構築した.結果及び考察1. 遺伝子解析結果 拡張型心筋症336例に全ゲノム解析を実施した.うち,160例にshort read sequencerで病的変異を検出した.遺伝子変異陰性例をGATK gCNVを用いて解析を実施し23例にCNVを検出した.2. Long read sequencer/SNP arrayによる確認. 上記23例中8例はDMD遺伝子にCNVを有していたためin silicoで予測された位置に,CNVを確認した.それ以外の15例のうち1例にlong read sequencerを用いた再解析を実施し,CNVの存在を確認した.3. モデル構築 下に述べる理由によりlong read sequencerによる確認が一部に留まったため,short readで検出された160例を変異陽性,176例を陰性症例として病理画像から変異を予測するモデルを構築し,AUC 0.91と高精度で予測できた.おわりにCNVの確認には当初,定量的PCRを用いて検討する予定であったが,CNVが大きく困難であると考え,SNP arrayおよびlong read sequencerを用いて確認する方針に変更した.Long read sequencerのパイプラインを整備するのに時間を要し,また対象症例からの再採血が必要であったため,研究期間内に検出した全てのCNVの確認を実施するに至らなかった.そのため,CNVを含むモデル構築ができなかったものの,今後本課題を引き継ぎ,long read sequencerを用いた確認および予測モデルの構築に着する予定である.謝 辞本研究を実施するにあたり,その機会と多大なご支援を賜りました公益財団法人 中外創薬科学財団に深く感謝致します.本研究の立案,遂行,実験につき直接ご指導下さり,多くのご助言を頂きました東京大学大学院医学系研究科先端循環器医科学講座 小室一成特任教授,野村征太郎特任准教授に感謝致します.また,日々の研究生活において多くのご支援を頂きました東京大学大学院医学系研究科循環器内科システム循環器グループの研究員,技術補佐員の皆様に心より御礼申し上げます.引用文献 1. DOI: 10.1016/j.jacc.2021.08.039 (2021)― 301 ―
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