招聘される研究者Alois Fürstner受入研究者(大会長)成果報告貴財団のご支援により,当方どもの主催した日本薬学会第144年会が成功裡に終えることができましたことを,まずは御礼申し上げます.日本薬学会第144年会は2024年3月28日~3月31日の4日間(実質的な演題発表は3日間)にわたり,パシフィコ横浜会議センター・展示ホールを会場に開催された.激変の最中にある薬学業界の実情を念頭におき,年会のテーマを「 「遺伝子」や「環境」と共栄する薬文化の創生~持続可能な“デジタル治療”の融合を目指して~」と定めた.激変する時代の中で,あえて「薬文化」という持続した伝統を築くための礎となることが年会開催の大きな意義であると考えている.年会運営は星薬科大学が主に担当した.一方,薬学業界が本来の現場である臨床へ,また安全性評価へと展開してゆくためには,薬科大学のみの運営では全体をカバーしきれないことが懸念された.薬学業界の現在の立ち位置を年会運営に反映させるため,国立がん研究センター研究所,国立医薬品食品衛生研究所に運営に加わっていただいた.新型コロナ感染症が2023年5月に「5類」に移行したことも踏まえ,本144年会は久々の完全対面開催として準備を進めた.薬学研究に携わる多くの研究者や医療人,教育者が集い,最新の研究成果を発表するとともに,薬学教育のあり方を議論する大変有意義な機会となった.年会前半は悪天候にたたられたが,それにも関わらず多くの参加者があり,盛会のうちに終えることが出来た.年会参加者はオンライン講演者 3 名を含め8802 名であった.会頭講演,13件の特別講演(貴財団に支援していただいたProfessor Fürstnerの講演はここに含まれる),22件の受賞講演に加え,シンポジウムを87件(国際交流シンポジウム:5,理事会企画シンポジウム:2,ジョイントシンポジウム:11,一般シンポジウム:69,大学院生・学部生シンポジウム:2)運営した.シンポジウムでの講演は総計で589件であった.これ以外の一般口頭発表は1034件,ポスター発表は2530件であり,合計4220件の発表が3日間にわたって繰り広げられた.この演題数は本学会の年会において過去最多であった.これ以外に,112件の企業展示,31件のランチョンセミナー,キャリアデザインセミナーを開催した.年会期間とは別に市民公開講座(3/23開催)を開催した.海外講演者の特別講演では世界最先端の知見を間近に感じられる素晴らしい講演が相次いだ.さらにこれらの講演を単独で完結するのではなく,関連したシンポジウムが続くよう,プログラム上で設(2024 年 03 月 28 日~2024 年 03 月 31 日)Max-Planck-Institut für Kohlenforschung星薬科大学薬学部薬学科薬品物理化学研究室 米持 悦生― 292 ―日本薬学会第144年会
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