中外創薬 助成研究報告書2023
286/324

招聘される研究者Vania Prado受入研究者(大会長)成果報告貴財団からのご支援により,第64回日本神経病理学会総会学術研究会/第66回日本神経化学会大会 合同大会において,The University of Western OntarioのVania Prado教授をISN/JSNジョイントシンポジウムの演者として招聘することができました.本合同大会の参加者は962名で,国内外の研究者に情報発信,情報交換,交流の場を提供することができ,盛況のうちに幕を閉じました.日本神経化学会は,神経化学を標榜する世界の学会の中で最も長い歴史を有する伝統ある学会です.これまで,神経系の多彩な現象を分子の視点から捉え,神経発生・発達・再生・老化のメカニズムや神経・精神疾患の病態解明など様々な脳科学研究を展開しその発展に貢献して参りました.昨今,脳科学研究は,凄まじい技術革新に伴って生物学や医学にとどまらず,化学,工学,情報学など多方面に広がりをみせています.こうした中,神経化学研究の新たな地平を求め,他分野との融合から生みだされる革新的な脳科学の開拓を旗印に日本神経病理学会との合同大会を企画致しました.我が国の神経病理学研究を担い発展させてきた日本神経病理学会は,日本神経化学会とほぼ同時期に誕生した歴史と伝統のある学会です.合同大会を開催しそれぞれの学会の特色を融合させることで,思いもかけない新たな化学反応が起こり,疾患をベースとした脳科学創成の糸口を見い出すことが期待できます.合同大会のテーマを,“Next Neuro−分子と形態の融合の先に”とした本大会において,国際神経化学会(ISN)と日本神経化学会(JSN)の合同シンポジウム「女性研究者が先導するアルツハイマー病の神経化学研究」を企画しました.日本神経病理学会の学会員にも大変興味を持っていただき,世界を先導する女性教授による4題の発表がありました.Vania Prado教授には,「Cholinergic signaling: relevance to cognition and Alzheimerʼs disease」というタイトルで,コリン作動性欠乏とアルツハイマー病との関連を解明するためのマウスモデル開発と分子メカニズム解明に関してご講演いただきました.また,Prado教授は国際神経化学会理事として世界各国での若手研究者支援を積極的に行なっており,合同大会懇親会や日本神経化学会鍋島トラベルアワード受賞者との懇親会においても若手研究者と積極的にコミュニケーションを取っていただき,日本人若手研究者,特に女性研究者に対して様々なアドバイスをしていただき,大会を盛り上げてくださいました.貴財団からのご支援により,このような貴重な機会を得ることができましたことをご報告し,心よ(2023 年 07 月 06 日~2023 年 07 月 08 日)The University of Western Ontario広島大学 医系科学研究科分子細胞情報学 今泉 和則― 284 ―第64回日本神経病理学会総会学術研究会/第66回日本神経化学会大会 合同大会

元のページ  ../index.html#286

このブックを見る