中外創薬 助成研究報告書2023
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Scheme 6. (E)-1,1-ジ(ボリル)-2-ブテン-1-d1とアルデヒドとの不斉アリル化反応また(Z)-1,1-ジ(ボリル)-2-ブテン-1-d1 13とアルデヒド3a, 3eをそれぞれ反応させると,syn-ホモアリルアルコール-δ-d1 15を収率76%と73%,syn:anti = >95:5,重水素化率 >99%と96%で得られました(Scheme 7).Scheme 7. (Z)-1,1-ジ(ボリル)-2-ブテン-1-d1とアルデヒドとのアリル化反応おわりに石油精製の過程で副産物として大量に生産されるプロピンから簡便に合成可能な1,1-ジ(ボリル)-1-プロペンに塩基を作用させて生じるアリルアニオンに対して,求電子剤としてアルキルハライドを作用させたところ,位置選択的なアルキル化反応が進行し,アリル位がアルキル化された1,1-ジ(ボリル)-1-アルキル-2-プロペンが得られました.さらに,ヨードメタンを反応させて合成した3,3-ジ(ボリル)-1-ブテンが,アルデヒドの不斉アリルホウ素化反応における反応剤して有用であることを明らかにしました.また,1,1-(ボリル)-1-プロぺンより生じるアリルアニオンに対する求電子剤としてアルデヒドを用いたところ,ボラン-Wittig反応が進行して,3位にボリル基を持つ1,3-ジエンが得られました.ついで,重水素化された(E)および(Z)-1,1-ジ(ボリル)-2-ブテンの合成を行いました.さらに,得られた重水素化反応剤を用いて不斉アリルホウ素化反応を行い,重水素化率を保持したまま,エナンチオおよびジアステレオ選択的に目的物が得られることを明らかにしました.Scheme 5. 幾何選択的なオレフィン異性化反応― 253 ―

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