Table 1. 1,1-ジ(ボリル)-1-プロペンと様々なハロゲン化アルキルとの反応得られた3,3-ジ(ボリル)-1-ブテンを用いてアルデヒドの不斉アリルホウ素化反応を検討しました(Table 2).キラルリン酸触媒((R)-TRIP)の存在下で,3,3-ジ(ボリル)-1-ブテン2aにベンズアルデヒド(3a)を作用させ,−40度で24時間攪拌させたところ1,2-オキサボリナン-3-エン4aが収率80%,97% eeで得られました.ここで得られた1,2-オキサボリナン-3-エンは,反応後の処理中に,ホモアリルアルコールから生成したと考えています.次に,基質一般性の検討を行いました.芳香族アルデヒドでは,対応する1,2-オキサボリナン-3-エン4b–4dがいずれも収率80%以上,90% eeを超える鏡像体過剰率で得られました.一方,脂肪族アルデヒド3eでは,収率が65%,E/Zが90/10,鏡像体過剰率が78%と低く,また,未反応のアルデヒドが回収されました.そこで,(R)-TRIPの量を10 mol%に増やし,温度を−50℃に下げ,反応時間を82時間に延ばしたところ,収率83%,82% eeで得られました.一方,ルイス酸触媒(BF3・OEt2)の存在下で,ベンズアルデヒド(3a)に3,3-ジ(ボリル)-1-ブテン2aを加え,−78度で56時間攪拌すると,三置換アルケン部位を持つZ体のホモアリルアルコール5aが収率81%,Z/E = >20:1で得られました.同様の反応条件で,脂肪族アルデヒド(3e)を用いると,対応するホモアリルアルコール5eが収率71%,Z/E = >20:1で得られました(Scheme 4).すなわち,ルイス酸触媒を使い分けることで,三置換アルケン部位を持つホモアリルアルコールのEおよびZ体をそれぞれ選択的に合成することが可能になりました.Scheme 3. 3,3-ジ(ボリル)-1-ブテンの調製― 250 ―
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