図2. 加齢に伴いニューロンの核はシワが増え,かたくなるおわりにニューロン可塑性には,外界からの刺激に対して適切に遺伝子発現を変化させることが重要である.遺伝子発現の調節にはクロマチン相互作用がフレキシブルに変化することが重要だが,かたくなった核ではそれが適切にできなくなっている可能性がある.すなわち,ニューロンの核がかたくなることは,老化ニューロンにおいて遺伝子発現が適切に調節できず,ニューロン可塑性が低下することのメカニズムの一つになっているかもしれない.今後は,核のダイナミクス低下の重要性を明らかにすることで,脳の老化の予防や治療に役立てたい.謝 辞本研究の遂行にあたりご支援いただいた公益財団法人 中外創薬科学財団,共同研究者の方々および研究室のメンバーに心より感謝申し上げます.引用文献1. Frey, T., Murakami, T., Maki, K., Kawaue, T., Tani, N., Sugai, A., Nakazawa, N., Ishiguro, K., Adachi, T., Kengaku, M., Ohki, K., Gotoh, Y., Kishi, Y.: Age-associated reduction of nuclear shape dynamics in excitatory neurons of the visual cortex. Aging Cell, e13925 (2023).スケールやメカニズムは大きく異なりますが,皮膚と同じようにニューロンの核も加齢とともにシワが増え,かたくなることは興味深いと考えています.― 222 ―
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