中外創薬 助成研究報告書2023
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0080552(RK-552)を得た(図3a).RK-552は,数μMでt(4;14)転座陽性の骨髄腫細胞株に対して有意な増殖抑制効果を示した(図3b).また,殺細胞効果の得られた濃度において,濃度依存的なH3K36メチル化抑制効果を示した.一方,H3K9やH3K27のメチル化レベルには変化が見られなかった(図1c).続いて,マウスを用いた薬物動体試験の結果,20mg/kg以下の投与量であれば,体重減少や血球減少,行動異常や死亡例もなく,充分な薬効が得られる可能性が明らかになった(図4a).KMS34細胞株を移植したマウスへ腹腔内投与すると,5mg/kg以上の投与量で有意な増殖抑制効果を示した(図4b).なお,投与に伴う体重減少や血球減少など副作用はほとんど観察されなかった(未公開データ).図3. (a) RK-552の50%酵素活性阻害濃度.(b) t(4;14)転座陽性(赤)と陰性(青)の骨髄腫細胞株に対する50%増殖抑制濃度.p値はt-testによる値.(c)KMS28-BM,KMS34,KMS26細胞株にRK-552を24時間作用させた際の,H3K36me2,K27me3,K9me3発現のイムノプロット解析結果.H4はタンパク量のコントロール.図4. (a) RK-552を30mg/kgでマウス腹腔内投与した際の薬物動態試験結果.(b)KMS34細胞株を免疫不全マウス皮下に移植,RK-552の投与前と5日/週で投与21日目のIVIS撮影像(左)とルシフェラーゼ活性の平均値(右).p値はDMSOに対するone-way ANOVA Student-Newman-Keuls multiple comparison testによる値.RK-552の増殖抑制効果がMMSET活性の阻害を介しているかを検証するため,H3K36me2に対す― 203 ―

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