て計算した.抗体アレイを用いたユビキチン化、リン酸化プロファイリング細胞を播種し,24時間インキュベートした.細胞をX阻害剤の無添加または添加で6時間処理した.次に,細胞を回収し,PBSで洗浄した.抗体アレイ解析は,Proteome Profiler Human Ubiquitin Array kit,あるいはProteome Profiler Human Phospho-Kinase Array kitを用いた.化学発光は,FUSION化学発光イメージングシステム(M&S Instruments)を用いて測定した.信号強度は,Image J 1.54g Software 61を用いて測定した.未処理の細胞のそれに対する薬剤で処理された細胞のシグナル強度の比率を計算した.ウェスタンブロット解析全細胞からタンパク質を抽出するために,細胞を回収した後,PBSで洗浄し,1x SDSサンプルバッファーで懸濁し,95°Cで5分間溶解した.Bioruptorを用いて15秒パルスを20サイクル適用して氷上でクロマチンを超音波処理した.タンパク質をイムノブロッティングにより分析した.タンパク質をSDS-PAGEで分離し,PVDFメンブレンに転写し,示された抗体でイムノブロットした.β-アクチンをローディングコントロールとして使用した.PVDFブロッキング試薬で25°Cで1時間ブロッキング処理した後,一次抗体を含むCan Get Signal Solution 1で25°Cで1時間プローブ処理を行った.0.1% Tween 20を含むTBSで洗浄した後,メンブレンを0.1% Tween 20,1% BSA,および西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗マウスまたは抗ウサギ二次抗体を含むTBSで25°Cで30分間インキュベートした後,Western Lightning ECL Proでメンブレンを反応させた.化学発光シグナルは,FUSION Chemiluminescence Imaging Systemを用いて測定した.結果及び考察(1)ARID1A欠損がんに対する脱ユビキチン化酵素Xの標的として有望性の検討ARID1A欠損がんにおけるX阻害剤を用いた治療法の臨床応用の有望性を検証するために,ARID1A欠損型細胞株のマウス移植腫瘍に対するX抑制による抗腫瘍効果を調べるためのマウス移植腫瘍モデルの構築を検討した.まず,ARID1A欠損がん細胞株の中で,腫瘍形成能を有する細胞株を選定した.さらに,その細胞株に対して,ドキシサイクリンの投与によって,Tet-ONシステムによるXを標的としたshRNAを発現させるベクターを導入した.この細胞株は,ドキシサイクリンを投与すると,Xをノックダウンすることができる.この細胞株をマウスの皮下へ移植し,ドキシサイクリンを投与によって腫瘍内でXを抑制したときの腫瘍増殖への影響を検討した.その結果,ARID1A欠損型細胞株由来のマウス移植腫瘍において,Xを抑制することで抗腫瘍効果を示した.(2)合成致死性を誘導する細胞死経路の検討ARID1A欠損型細胞株において,Xを抑制したときの細胞死経路を検討するために,Xの抑制による細胞周期への影響を検討した.ARID1A正常型細胞株において,Xを抑制しても細胞周期への影響はほとんど認めれられなかった.しかし,ARID1A欠損型細胞株において,Xを抑制すると,sub-G1画分の細胞集団が増加することから,アポトーシスが誘導されることが示唆された.さらに,― 187 ―
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