中外創薬 助成研究報告書2023
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九州大学大学院医学研究院病態修復内科Medicine and Biosystemic Science,Kyushu University Graduate School of Medical Sciences― 173 ―Venetoclax, a BCL2 inhibitor, is a key component of AML therapy with Azacitidine; however, molecular mechanism regulating Venetoclax + Azacitidine sensitivity remain largely unknown. To identify molecules/pathways governing Venetoclax + Azacitidine sensitiveity and resistance, we performed genome-wide CRISPR/Cas9 screens using human AML cell lines. Though we are still on the way, we here show the some results of this study.Abstractはじめに2020年,高齢者急性骨髄性白血病(AML: Acute Myeloid Leukemia)症例に対し,ベネトクラクス(BCL2阻害薬)とアザシチジン(メチル化阻害薬)併用療法が従来のアザシチジン単剤治療と比較して,有意に治療成績を向上することが報告された(図1)1).この報告を受け,2021年4⽉より本邦においてもベネトクラクス+アザシチジン併用療法が承認され,高齢者AML症例における治療の新基軸となり急速に普及している.しかしながら,ベネトクラクス併用療法の抗白血病作用メカニズムの詳細は解明されておらず,この併用療法がどのようなAML症例に有効であるのか,また,無効症例に対してどのようなアプローチをすべきなのかは明らかとなっていない.本研究では,CRISPR/Cas9システムを用いた全ゲノム機能的スクリーニングにより,ベネトクラクス+アザシチジン併用による抗白血病作用メカニズムを解明する.さらに,AML症例の臨床検体に対しゲノム変異解析とトランスクリプトーム解析を行うことで,併用療法が有効な症例・無効な症例の背景にあるゲノム変異と分子生物学的特性を明らかにすることで,ベネトクラクス+アザシチジン併用療法が有効と考えられる適切な症例選択,ならびに,無効と考えられる症例に対する新規治療法開発基盤となるシーズを創出する.急性骨髄性白血病に対するBCL2阻害薬を用いたNovel therapy in AML using BCL2 inhibitor新規治療法開発山内 拓司Takuji Yamauchi

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