中外創薬 助成研究報告書2023
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図4. 細胞傷害性TFH様細胞と従来型TFHの遺伝子発現の比較おわりに本研究では腫瘍微小環境において従来のTFHに加えて細胞傷害性を有するTFH様細胞が存在することを新たに同定した.腫瘍浸潤TFHは腫瘍特異的で,従来型TFHから細胞傷害性TFH様細胞へ分化していることが明らかとなり二面性が示唆された.さらに遺伝子発現パターンから,細胞傷害性TFH様細胞と従来型TFHはそれぞれCD8陽性T細胞でのterminally differentiated /progenitor exhaustionと同様の関係であり,本結果は今まで明らかではなかったCD4陽性T細胞のexhaustionを再定義できると考えられた.TFHのより詳細な抗腫瘍免疫メカニズムを解明することで,固形がんに加えて悪性リンパ腫における抗腫瘍免疫応答の本体解明,新規バイオマーカー開発やCAR-T療法などの細胞療法含む新規治療開発に繋がると考えている.二面性を有するTFHの抗腫瘍メカニズムの解明のため,悪性リンパ腫検体を用いて解析を進めている.謝 辞本研究をサポートいただいた公益財団法人 中外創薬科学財団に謹んで感謝申し上げます.引用文献 1. DOI: 10.1182/bloodadvances.2020002098. 20202. DOI: 10.1016/j.celrep.2024.113797. 2024a) 従来型TFHと細胞傷害性TFH様細胞の遺伝子発現の比較.volcano plots で示した.b) C57BL/6J マウスでのTCF-1を強制発現またはBLIMP1を抑制したTFHのグランザイムBの発現量― 167 ―

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