中外創薬 助成研究報告書2023
168/324

図3. TFHのTCRの共通性と分化極性の検証4.細胞傷害性TFH様細胞と従来型TFHの関係性は、CD8陽性T細胞のexhaustionの概念と一致する.連続的に分化する2つのTFH分画の性質を評価するために,シングルセルシークエンスデータを用いて両者の遺伝子発現を比較した(図4a).細胞傷害性TFH様細胞はLAG-3,BLIMP1高発現,TCF1低発現である一方,従来型TFHはTCF1高発現,BLIMP1低発現の特徴を有していたが,これらはそれぞれCD8陽性T細胞におけるterminally differentiated exhaustion並びにprogenitor exhaustionと同様の表現型であった.さらにc57BL/6マウスのT細胞を用いてTCF1の強制発現およびBLIMP1のノックダウンを行ったところ,いずれもコントロールと比較してグランザイムBの分泌が低下することが明らかとなった(図4b).前述したTCRの共通性から両分画には連続性があると考えられ,さらにその遺伝子発現パターンやT細胞の機能解析の結果から,細胞傷害性TFH様細胞と従来型TFH の関係性はCD8陽性T細胞のterminally differentiated exhaustion並びにprogenitor exhaustion の概念に一致すると考えられ,二面性が示唆された.a) 両分画で共通のTCRを抽出.細胞傷害性TFH様細胞のみに存在するTCR (Cytotoxic only),従来型TFHのみに存在するTCR (Non-cytotoxic only),両分画に共通して存在するTCR (Overlapped)として表示した. b) TFHのRNA velocity解析 (左)とそれに基づくTFHのlatent time (右).― 166 ―

元のページ  ../index.html#168

このブックを見る