課題解決型学術研究というチャレンジ 「(公財)東京生化学研究会」は昭和35年(1960年)に発足され、60周年を迎えられる歴史的なこの時期に、研究助成金の審査に関わる機会に恵まれていますこと、大変光栄に思います。 「(公財)東京生化学研究会」の審査に関わって気付いたことですが、毎年公募する財団助成金において、生命科学の特定のテーマに絞って募集する例は大変少なく、とてもユニークです。 重要な課題からホットなテーマ設定まで議論して決められており、意欲的な申請書がたくさん応募されてきます。 また、多くの外国人研究者も招聘されており、本財団の助成は、広く国際交流の支援に及ぶBird Eye Viewを有しています。 本財団の目的には、「薬物治療並びに新規医薬品の創製に関する基礎的及び応用的研究」を助成すると書かれていますが、特徴あるテーマ設定の取り組みの意味するところは、課題解決型学術研究というチャレンジを長年継続されていることだと感じます。 課題解決型(テーマ設定)を打ち出すことによって、基礎的な研究にも応用的な要素が加わり、既存の角度とは異なる取り組みと捉えることができる新鮮さが芽吹いてきます。 私事で恐縮ですが、若手の頃に2回ほど本財団の助成研究に応募しました。 不採択であった理由の一つに、課題解決型学術研究というチャレンジへの熱量が足りてなかったことが、今更ながらですが理解できました。 時代とともに研究テーマの尺度が変化していきますが、新しい視点から挑戦していくアイデアを考案する重要性は不変です。 AIによる機械学習などを利用してビッグデータを取り扱う着想や、一細胞・一分子の究極のスケールで挑んでいく発想など、若手研究者から次々と繰り出されてくる課題解決型学術研究というチャレンジを、今後もご支援いただければと思います。深水 昭吉(財団現選考委員)筑波大学生存ダイナミクス研究センター教授093東京生化学研究会60周年に寄せて
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