東京生化学研究会 60周年記念誌
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ニューノーマル時代に向かって (公財)東京生化学研究会が発足して60年、おめでとうございます。 我が国の科学技術の発展に沿って、大学を中心とした研究者の精神的支柱・財政的支援機関として大きな役割を担ってこられたことに心より感謝申し上げます。  小職にとっての(公財)東京生化学研究会は、民間財団からの初の助成金(平成14年(2002年)度研究奨励金)、研究室を独立した時期の助成金(平成25年(2013年)度研究助成金)を採択していただいたことから、大変思い入れのある財団です。 研究発表会でも様々な研究者との交流を通して刺激を受け続けています。 最近では、選考委員として微力ながらも恩返しする機会もいただいています。 さて、令和2年(2020年)初頭から世界的パンデミックが発生し、次々現れる変異株もあいまって新型コロナ禍の収束は見通せない状況です。 世間では、ウィズコロナとしてどのような生活スタイルを構築していくかというニューノーマル時代を模索しているところです。 また、医薬業界では抗体や核酸医薬といったニューモダリティが広く実用化されるようになり、ワクチンの開発・承認が異例のスピードで行われ、新時代を感じさせます。 学問においてもAIやDXなどのデータサイエンスが本格化し、働き方改革やコロナ禍という社会情勢の変化もリンクして、自然科学研究でもドライ手法が重要視されるようになっています。 なかなかこれらの変化に柔軟に対応していくことに疲れる部分もありますが、それをニューノーマルと捉え、それらと従来の学問が協奏することで未踏の発見・発明をしていくことが使命だとも思っています。 (公財)東京生化学研究会は令和4年(2022年)から、(公財)中外創薬科学財団となると聞いております。 これまでと変わらぬご支援を研究者に継続しながらこれからの時代を先導する企画などを立ち上げ、財団としてのニューノーマル時代を築くものではないかと熱く期待しています。高須 清誠(財団現選考委員)京都大学大学院薬学研究科教授087東京生化学研究会60周年に寄せて

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