東京生化学研究会 60周年記念誌
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アジア地域招聘国際共同研究助成への想い この度は、(公財)東京生化学研究会設立60周年を迎えられ、誠におめでとうございます。 現在、私は選考委員をさせて戴いておりますが、(公財)東京生化学研究会との出会いは、20年ほど前に遡ります。 私の研究分野は寄生虫感染症、特にマラリアにおける病態発症機構と宿主免疫応答を専門としております。 2001年、日米医学協力研究会アジア調査研究派遣者としてマレーシア、ベトナム、タイを歴訪してアジア各国の寄生虫症の実情を知り、「拠点大学方式によるタイとの学術交流(医学分野)」(文部科学省)に 協力研究者・派遣研究者として参画する機会を得て、同年からバンコクのマヒドン大学熱帯医学部と共同研究を開始しました。 現在のタイ王国ではマラリア罹患者数は激減していますが、当時はタイ・ミャンマー国境に薬剤耐性熱帯熱マラリア原虫の感染者が多く、様々な病型の患者が認められました。 この国際共同研究によって自然免疫系細胞とマラリア重症化との関連を明らかにすることができましたが、この研究に関わってくれたタイの若手研究者から日本で研究をさらに進展させたいという申し出がありました。 そこで何とかその希望を叶えたいと調べて出会ったのが、(公財)東京生化学研究会のアジア地域招聘国際共同研究助成事業でした。 残念なことに、最終的には先方の事情で申請は叶わなかったのですが、アジア地域に特化して若手研究者を招聘し研究支援するこの助成事業は、私にはとても斬新な事業に思えました。 その後、杏林大学医学部の感染症学講座(寄生虫学部門)を主宰するようになってしばらく経ったある日、長身でダンディな紳士が教授室にみえました。 常務理事(当時)の石館光三先生でした。静かな語り口から「アジア地域招聘国際共同研究助成金の選考委員に」という身に余るお話を戴き、びっくり仰天したことが昨日の様です。 この助成事業では、過去25年間に19か国/地域から116名が来日しています(2019年度採択分まで)。 これからもアジアの様々な国/地域から多くの若手研究者に日本に来て学んで戴き、広く世界で活躍して戴ければと願うと同時に、ここに関わらせて戴いておりますことを誇りに思っております。小林 富美惠(財団現選考委員)麻布大学生命・環境科学客員教授0861960-2020 TBRF-60th CHAAO-10th

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