東京生化学研究会 60周年記念誌
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私と生化学研究会 私の(公財)東京生化学研究会との出会いは昭和50年(1975年)まで遡ります。 その年、それまで高田馬場の(財)東京生化学研究所にいらした(故)橋本嘉幸先生が私たちの薬学部・衛生化学講座に教授として着任されました。  当時私は天然物化学研究室の大学院生でしたが、親友が橋本研でニトロソアミンの研究していました。 彼は仙台と高田馬場とを行き来しており、しばしば私に研究所の様子を聴かせてくれました。 そのたびに、彼が素晴らしいスタッフとともに楽し気に実験をしている姿が目に浮かび、私も一度でいいから研究所を訪れてみたいと思ったものです。 平成2年(1990年)度、私は研究奨励金に採択していただきました。 研究室の事情から、それまでの研究助成への応募では、私は研究分担者として名を連ねるだけでした。 したがって、この時の助成は私にとって初めて代表者としていただいたものでした。 代表者となると研究に対する気の持ちようも違います。 しっかりした成果を出さねばと力が入りました。 昨年まで専務理事をなされていた石館光三先生とのお付き合いもよき思い出です。 東日本大震災のときには、研究科はきわめて大きな被害をうけました。 誰もが予想できなかった規模の災害です。 何をどのような手順で復旧したらよいのかわからず途方に暮れていました。 このとき先生から強く励まされ、困ったことはないかと様々なご支援をいただきましたが、先生の全てを包み込む優しい話しぶりで、私は元気を出さなければという気持ちになりました。 それはまるで昨日のことのように思い出されます。 (公財)東京生化学研究会はいつも私を元気づけてくれる存在でした。 現在私は選考委員として(公財)東京生化学研究会に参加させていただいています。 これからは将来を担うみなさまに少しでもお役にたてればと思っています。大島 吉輝(財団現選考委員)東北大学オープンイノベーション戦略機構特任教授083東京生化学研究会60周年に寄せて

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