科学の進歩と素晴らしい人々との出会い 私と本財団との出会いは前専務理事の石館光三先生に始まります。 石館先生とは同じ東京医科歯科大学に在籍し、研究談義やゴルフを楽しむ仲です。 (公財)東京生化学研究会の助成金へのお誘いを何度か頂戴しましたが、レベルが高く、見送り続けてきました。 昨年8月に亡くなられた淺野茂隆先生とは当財団で再会し、多くを学ばせていただきました。 淺野先生は臨床家としても多くの患者さんから慕われ、当会でお会いするたびに、親しくお話しさせていただきました。 新専務理事の長野哲雄先生とは東大の同級生で、当会で40数年ぶりにお会いしました。 入学時の昭和43年(1968年)は東大紛争で休校が続き、私は下北沢の喫茶店の片隅に引きこもり、高橋和巳やフランクルの書物を読みふける日々でした。 その後薬学部、医学部へそれぞれ進学し、久しぶりにその名を知ったのは彼が平成18年(2006年)に紫綬褒章を受賞された時でした。 同級生の誇りです。 私はというと、卒業後40年小児がんや白血病の診療・研究に従事し、東京医科歯科大学小児科を最後に、定年退職しました。 今は自閉症の子の相談に応じています。 最近先天奇形症候群の中にRAS-MAPキナーゼ症候群というのが見つかり、自閉症と白血病リスクが高いことが知られています。 がんと自閉症はどこかでつながっていないか? と妄想しています。 若手研究者支援は老人の使命でもあり、草の根運動でささやかながら公益信託日本白血病研究基金を30年前に立ち上げ、総計3億円、400人以上の研究者を支援してきました。 (公財)東京生化学研究会やAMEDのゲノム創薬分野でのお手伝いは科学の進歩を実感できるブレインストームの場としても大変ありがたく感謝しています。水谷 修紀(財団現評議員)東京医科歯科大学名誉教授079東京生化学研究会60周年に寄せて
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