東京生化学研究会 60周年記念誌
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セイカケンの懐かしい人々と私 (公財)東京生化学研究会の60周年、誠にお目出度うございます。 私がその存在を知ったのは、薬学部4年生になって薬品分析化学教室に所属してからです。 週1度の教室ゼミで田村善藏教授の口から、『セイカケン』や『中外』の話をよくお聞きしました。 何でも、セイカケンは田村先生の恩師の石館守三先生が退官される折、グルクロン酸の医薬品展開で共同研究をしていた中外製薬(株)が、石館先生の為に創設して呉れたとの事でした。 暫らく経ってから、田村先生と同期の岡田正志先生が当時の所長、教室の先輩のガン(橋本嘉幸)さんが研究員をされているとも聞きました。 その後も、私が教務職員になって2年目の4年生に当たる坂本俊治君や、私がご指導戴いた鮫島啓次郎先生もセイカケンで研究される事になりました。  私は、中嶋暉躬先生と今井一洋先生の助教授を経て、平成8年(1996年)に東京理科大学薬学部薬品分析化学教室に教授として移籍しました。 その際、新しく研究室を立ち上げる為の応援資金を、セイカケンから頂戴してほっとした事を有難く思い出します。 又、博士後期課程大学院生にも奨学金を戴き、お蔭様で本人がバイトをせず研究に専念する事が出来ました。 現在は、先輩である松井道夫元常務理事のお誘いで、平成22年(2010年)より本財団の評議員を微力ながらも務めさせて戴いております。 来年、令和4年(2022年)春には、我が国における医薬品研究助成機関としては、トップレベルの(公財)中外創薬科学財団が発足します。 海外のメガ資本と対抗する戦略として、「一騎当千」とも言うべき有為な逸材を数多く発掘・育成する方向性の模索も重要と思われます。 永山治理事長の強力なリーダーシップの下、長野哲雄専務理事、高梨契典常務理事のチームが、その様な世界戦略をご検討下さる事を願っております。 これまで応援して来た多数の奨学生や研究者の中から、龍や蝶になった方々のサクセスストーリーを紹介戴くのも楽しみであり、若手の刺激にも成りそうです。中村 洋(財団現評議員)(公財)中央温泉研究所専務理事077東京生化学研究会60周年に寄せて

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