東京生化学研究会に参加させていただいて 平成10年(1998年)に評議員として参加させていただいて以来、平成28年(2016年)からは理事として(公財)東京生化学研究会のお世話になっている。 昨年で設立後60周年を迎えた歴史ある財団で、昭和35年(1960年)12月に創設されて以来、薬剤に関する基礎研究の実施/助成、さらには優れた研究者の育成を目指され、世界に向けて多くの研究成果が発信されてきた。 応募の方々は基礎研究者が多く科学レベルも高く、私ども臨床医には敷居が高かったが、奨学給付をいただく機会もあり、若手にとって貴重な研究資金である。 平成7年(1995年)からアジア地域招聘国際共同研究助成金事業としてアジア地域から若い研究者を我が国の大学・学術研究機関等に招聘する事業が開始された。 慶應から北里研究所病院に移ってからこのアジア地域招聘国際共同研究助成金に応募し、平成27年(2015年)から2年間フィリピンのUniversity of Santo ThomasのJose D. Solano教授からのDr. Maria Carla Villanueva Tablantを研究者として受け入れることができました。 財団にとってフィリピン人の応募は初めてであったが、研究施設も機会もない彼女にとって、貴重な経験でありその後、大学へ戻ってからも臨床に忙しい中でも研究を続けることができています。 事業の素晴らしいところは、助成研究報告会が毎年開催され、財団の資金で研究した業績を発表する機会を提供していただいていることです。 すばらしい研究内容の講演に加えて、様々な面から詳細にかつ活発な質疑応答もなされ、若手研究者にとって貴重な経験となっています。 Dr. Tablant も「Mechanisms controlling functions of Gut Macrophages in health and disease(健康と病気における腸マクロファージの機能を制御するメカニズム)」のテーマで当院での研究成果の報告をさせていただきました。 若手にとって研究資金の獲得が難しい日本の環境ですが、財団の助成は今後も研究や臨床に役立つものと確信しています。日比 紀文(財団現理事、元評議員)慶應義塾大学医学部名誉教授北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター長069東京生化学研究会60周年に寄せて
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